✿ 日本の百貨店でサラリーマン修行 -不屈の魂がワインに目覚めさせる- ふくおか博覧会で半年間、館長として務めている際に、福岡の百貨店での仕事が持ち上がり、そこでしばらく修行することになりました。始めは、「日本の会社のサラリーマンなんて」という気持ちもありましたが、様々な職務を経験し、最後にワインの売り場を経験しているときに、日本でのワインの売り方に疑問を感じ、もっと日本の方々にワインを知ってもらおうとワインの直輸入販売を始めたのです。ただ単にワインを店頭に並べるだけではなく、独自のセレクション、独自の企画で販売を行っていきました。 日本とフランスの両国に輸出入の会社を興して、直接取引出来る仕組みを作り、ワインの販売を行いました。私は大学時代に友人と3人で、フランスのとある倒産しそうな会社の再建にも関わったこともあり、その時の経験も随分役立ちました。法学部時代の経験がそこで活きたわけです(笑)。その時再建させた会社は今でも友人達が運営をしており、私も株主として経営に加わっています。 そうやって徐々にビジネスが確立されている折、日本で正にワインブームが沸き起こり、創業当初年間5000本程度だった販売数は今では100万本程までに広がっていきました。 それからはワインを販売するだけでなく、ワインレストランやケータリング会社の経営、ワインセミナーの開催、ワイン販売のコンサルティング業と、ワインを介したフランスと日本の架け渡しとして様々なビジネスを展開していきました。また、27歳の時には、フランスでも名高いボルドー地方バルザックソーテルヌ地区ワイン騎士団に最年少という若さでの入団も果たしました。
✿ 福岡との出会い -始まりは家族の影響- 実家がワイン販売をしていましたので、小さい頃からワインには接していました。父方の家系は医療関係者が多く、父親自身も医者でしたが、そのかたわらでワイン業にも従事していました。私自身は小さな頃からワインに関わる仕事を本業としようとは考えておらず、大学入学時は法学部を専攻しました。家系的には医者になるのが筋だったのでしょうが、私には向いていなかったようです・・・(笑) そんな折、1989年にふくおか博覧会ボルドー館長として来日しました。まだ私が学生時代の話です。そもそも福岡市とボルドー市が姉妹都市として提携するときに、父親が関わっていたんですね。実は私の父親は柔道家でして、東京オリンピックにも出場しているんです。その関係で日本との関わりも深く、福岡市との姉妹都市提携の際に、父も深く関わっていたのです。その繋がりで、フランス文化と日本の文化の両方に精通しているような人間を探していて、私が選ばれたわけです。それに、実は私の母親は日本人なんです。実は私自身がハーフなのです。父は東京オリンピックの際に母と知り合ったそうです。
『イベントCOARA 福岡で働くエトランジ』記事より 2007年 1月 フランス・ワインの伝道者 シュードル・ニコラさん "ワインを通してフランスと日本の良い関係を作ること" ・・・それが私の使命です。 (有)エーイーエスジャポン 代表取締役社長 SUDRE NICOLAS(シュードル・ニコラ)さん
福岡との出会い 姉妹都市 福岡市とボルドー市の架け橋に
✿ お客様の声をワイン提案に -フランスに根付いたワイン文化- 職業を聞かれると、いつも何と答えたらいいのか困ります(笑)。スーツでビジネスの商談をする時もあれば、ワインの買い付けでジーンズの日もあります。レストランでお客様と接することも。でも、レストラン経営をしているおかげでお客様の声が直接聞けるのがいいですね。ただ自分が良いと思うものをお売りするだけでなく、お客様の声を聞いてご提供していく。その意味では、ソムリエ的な職種とは少し違いますよね。 レストランは現在2店舗経営しています。大名にある「ル・シュバリエ」と、平尾にある「ラ カーブ ド ニコラ ル・ボルドー」です。来年早々には新たにもう一店オープンする予定です。今後は、出来れば年2店舗ずつくらい出店したいと考えています。 それぞれの店にはそれぞれのコンセプトをしっかりと持たせています。例えば、平尾の「ラ カーブ ド ニコラ ル・ボルドー」は、入り口が洞窟というか地下室に入っていくような感覚ですし、内装も地下室の雰囲気をそのまま取り入れています。それは、フランスの家では多く見られる地下室のワインセラーをイメージしているんですね。そしてフランスでは、居 住空間である家屋の2階や3階との行き来が面倒なので、食事は地下室のワインセラーの傍でやることも多いのです。そうすると、食卓を囲んで、壁のワインを抜き取って、そのまま栓を抜いて食卓に並べるなんてことも出来るわけです。そんなフランスの家庭の雰囲気を醸し出しながらお客様をおもてなしするというのがあそこのコンセプトです。今度オープンする店は、ギャラリーの中にあるので、移動式の壁面にしたりとか、馴染み易い店作りにしたりとか、いろいろとアイデアは尽きることがありません。
✿ 日本で仕事をする -フランスを伝える- 日本で仕事をする上で一番大変なのは、やはり人(日本人)とのコミュニケーションですかね。日本社会の人間関係の理解というか、人としてしっかり社員を見極めることが必要というか、特に若い人たちとのコミュニケーションや教育には気を使います。お客様は上級な料理と同時に上級なサービスも望んでいらっしゃるわけですから。そのような方々にしっかりフランスの事をお伝え出来るように社員の人たちにはなってもらわないといけないと思っています。 「いい人がいないと会社は伸びません」 それと、日本社会をしっかり理解して仕事をしないといけないと思います。外国人としての 自分のキャラクターも大事ですが、やはり人間関係が一番大切だと思います。自分を取り巻くネットワークの中で、信頼を築いていくこと。これがうまくやっていく秘訣だと思います。 そして更に大切なのは、その土地が好きであることですかね。福岡は本当にいい街ですし、大好きな街です。福岡でなければ私は日本にはいなかったと思います(笑)。
✿ セミナーやコンサルで文化を伝授 -様々な顔を使い分ける- 年間、約6000人の方に様々な場所でワインやフランス料理(フレンチ)のことについて話しています。フレンチのコンセプトがテーブルの上に直接物を置かないというような事とかですね。気づかれたかも知れませんが、料理皿用の受け皿やナイフ・フォーク置きなどがあるでしょ。 フレンチは元々貴族文化から発展している料理ですから、その慣習を受け継いでいるわけです。食器の選択や内装・装飾品など、雰囲気作りも含めて私はフレンチだと思っています。レストラン立ち上げの初期投資も、オープン後の運営においても、良い物を揃えようと思うと、資金的にはいろいろと大変なのです。だから、ちょっとだけ高価な料理になるわけです(笑)。 フランスと日本の良い関係作り、交流の架け橋となることが私の使命だと思っています。これからは日本の食材をフランスに紹介していく仕事や、これまでのセミナーや講習会、社内教育で教えてきたことを本にして出版することも考えています。
シュードル ニコラ
【編者後記】インタビューの間中、終始笑顔の絶えなかったニコラさん。待ち合わせ場所から快く車で引率してくれたり、忙しい昼食時に厨房を見せてくれたりと、その優しく、他人への気遣いを大切にする人柄が全身から溢れているようでした。慌しくなかなか休みの取れない日々が続く中、休みの日には二人のお子様と奥様を連れてアウトドアでバーベキューをするのが楽しみとか。のんびり出来る海や山が近くにある福岡は、そういう点でも最適な場所だという。カメラをいじるのが好きな笑顔のムッシュは、その優しい表情に似合わず、柔道5段、黒帯の持ち主で、学生時代にはフランス代表に選らばれたことも! そんな心技一体の強さがビジネス成功の秘訣でもあるようだ・・・。 これからも、この福岡を拠点にフランス文化、ワイン文化の伝承にご活躍されることを期待しています。
✿ 私にとってワインとは -人生とワイン- 小さい頃から慣れ親しみ、生涯を捧げることになったワイン。ワインは正に私のライフスタイルそのものです。ある意味、人とのコミュニケーションの一つ。趣味とか仕事とかの区別のない、生活そのもの。正に「ワイン・ライフ」とでも呼んだ方がいいのでしょうかね・・・(笑)。
※ おいしいワインは、シュードルニコラセレクション!※
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